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第22回: 高レバレッジを伴う国際金融取引の経済学的な合理性について:2つのモデルを通じて

開催場所:
一橋大学神田キャンパス(大学院国際企業戦略研究科)
8階第2講義室
(千代田区一ツ橋2-1-2、学術総合センター内)

報告者:
斉藤 誠 氏
一橋大学経済学研究科教授

要約:
現在の国際金融取引では,高度な金融技術や投資技術が駆使されながら高レバレッジを伴うロングととショートの両建てポジションが大規模に構築されている。通常,こうした両建てポジションは,割安資産のロング,割高資産のショートによる裁定機会の活用として説明されることが多い。しかしながら,そうした両建てポジションを均衡現象として合理的に説明する経済学的な試みは少ない。
 本報告では,最近の著者の論文(Devereux and Saito, 2007; Saito, Suzuki, and Yamada, 2007)に基づきながら,高いレパレッジを伴う両建てポジションが均衡で生じる理由を明らかにし,高レバレッジの経済学的な合理性を考察していく。
Devereux and Saito (2007)では,直接的な対外株式投資が限定されている経済環境において,異なる通貨建ての名目債券の両建てポートフォリオが多国間で生産性ショックをシェアリングする役割を果たしていることを示す。
一方,Saito, Suzuki, and Yamada (2007)では,契約履行性制約が強く課せられている経済環境において,ルーカスツリーと条件付状態請求権の両建てポートフォリオポジションが多国間でキャタストロフィックなショックをシェアリングする役割を明らかにする。いずれの論文においても,市場欠落や取引制約がある場合に,高レバレッジを伴う両建てポジションがリスクシェアリングの役割を積極的に果たしている。
 このような両建てポジションの経済学的な合理性を前提に,高レバレッジを伴う国際金融取引に対する規制のあり方を考えてみたい。