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第6回

Markus Brunnermeier, Andrew Crockett, Charles Goodhart, Avinash D. Persaud and Hyun Shin, “The Fundamental Principles of Financial Regulation” (Geneva Report on the World Economy 11, Preliminary Conference Draft)を素材にして、金融市場規制の新たな方向性と動向について討議した。(Geneva ReportsはInternational Center for Monetary and Banking Studies, ICMBがCentre for Economic Policy Research, CEPRと連携して出しているseriesである。)
 この報告書は、2009年1月24日のconference in Genevaのために用意されたものであり、金融市場規制の新たな方向性・動向を象徴するものとして注目されている。
柳川範之氏に概要の紹介をお願いし、松島斉氏にコメント役をお願いして、会合を開催した。完成度の高い学術論文でないこともあり、内容の明確さ、全体としての統一性・完結性、主張の論拠と証拠の説得力などの点で、報告者を含むほとんどすべての参加者を戸惑わせた。あくまで「金融市場規制の新たな方向性・動向」を話題にし、討議するための素材だと割り切っての紹介をお願いし、当日も繰り返し参加者にこの点を強調した。
 とはいえ、冒頭から議論沸騰し、三輪が進行係の役割を果たす場面の比重がいつも以上に大きくなった。結局、1/3弱にあたるChapter 2まで進んで3時間の会合を打ち切り、6月12日に次回会合を急遽設定して、より具体的な規制の内容に関わる部分を取り上げることとした。
 世界各国の政府・規制者が大筋において合意している規制強化の方針およびその方向性に沿ったもののように見えるものであり、financial crisisやliquidityに焦点を合わせたfinancial regulationとの関連で注目度の高い研究者と著名な実務家の合作であり、アメリカではなくヨーロッパで“The Fundamental Principles…”と銘打ってこの時期に提示された報告書であり、counter-cyclical regulation, regulation of liquidity and maturity mismatchesなどの最近話題のキーワードを取り上げたものである。以上の点で、時流に合った(乗りやすい)、注目を集めて当然な報告書である。しかし、当初予定以上に議論が沸騰し、検討の素材としての貢献度の高いものであった。
 最近流行の「金融市場規制の新たな方向性・動向」は、こういうメンバーが集まっても支持するための論拠・根拠としてこの程度のものしか提示できず、政策の具体的内容もここまでのものか、と考えさせる有用な文献だとの見方も可能だろう。