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第14回

今回の会合の話題はJリートである。社団法人日本不動産証券化協会(ARES)の内藤伸浩上席主任研究員(東京大学公共政策大学院特任教授)、市井達夫事務局長、長沼文六事務局次長・業務部長の3名の方々から「Jリート創設の経緯と市場概況」と題する報告をいただき、討議した。Jリートという話題の注目度の高さ故か、参加者総数20名というこれまでの最高の数字を記録した。
 前回会合の話題であるCMBS同様、(商業用)不動産市場の「証券化」に関わり、「不動産バブル」およびその崩壊との関連で「金融危機」とも密接に関連する。新たに誕生し急拡大した市場であり、REIT あるいはJリートという名称やその価格の動向が大きな話題となっていることを知っているとしても、制度の詳細や関連法制度・税法との関連などという基本部分に関わる情報に疎い。Jリート(市場)は、とりわけ大学の研究者の多くにとって、なかなかに近寄りがたい存在である。「そんなことをご存知ないのですか・・・」という質問から、「え、そんなことまで聞いて(言って)いいのですか」と言われかねない発言まで登場し、3時間にわたって活発な議論が続いた。
 アメリカのCMBS市場の動向に焦点を合わせた前回と異なり、今回は日本のリートおよびその取引市場全般が話題となった。日米両国では関係法制度、税法、各種(金融)規制などが異なる。さらにアメリカとは異なり日本には巨大な上場不動産会社が存在する。このため、Jリートをアメリカの上場型不動産ファンドであるREIT(Real Estate Investment Trust)の日本版と認識することは必ずしも適切ではない。ちなみに、おそらくは会社型株式投信を「証券化」商品と呼ばないのと同じ理由で、REITも「証券化」商品とは呼ばない。日本不動産証券化協会の名称に象徴される如く、日本ではJリートを「証券化」商品と呼ぶようである。
 報告は、(1) Jリートの創設の背景と市場の概要、(2) Jリートの仕組み、(3) Jリートの特徴と意義の順に進んだ。
 参加メンバーの関心はさまざまであり、議論は各方面に展開した。費やした時間の長さの点から見ても、日本のJリート市場の特徴として最大の話題を集めたのは、「スポンサー企業」に関する市場の評価がリートの評価を大きく左右しているという点であった。もっとも、「どのような状況下でどのように左右するか・・・」「なぜか・・・」などの観点からのさらなる検討は今後の課題のようである。上位3銘柄が市場全体の時価総額の約40%を占める。これら3銘柄の「スポンサー企業」は三井不動産、三菱地所、野村不動産である。「不動産証券化に求められる基本的要件」の第1に掲げられるのが用いられる特別目的事業体(SPEあるいはSRV)の「倒産隔離」である。このことと「スポンサー企業」に関する市場の評価に関わるこのような観察事実との関連をめぐって議論が錯綜した。
 また、「日本のリートは個別銘柄の規模が小さく、指数に注目すると値動きが小型株のものとほとんど違わない。このためリスク分散の観点からの独自の魅力に乏しく、実質的には小型株の一部という取扱となっている」とする海外機関投資家関係者の発言にも注目が集まった。
 アメリカのCMBS市場とともに日本のJリート市場は、商業用不動産価格動向との関連を通じて「金融危機」の今後に密接に関連するとの見方もある。なかなか近寄りがたい不動産市場への参加メンバーの距離感が、今回の会合を通じて多少は縮まったように見える。貴重な話題と情報を提供し、長時間にわたる議論に我慢強くお付き合いいただいた日本不動産証券化協会の皆様に深謝します。

 当日の提出資料は次からダウンロードできる。


Jリート制度については、東証の「REITスクエア」、特にその中の投資家向けQAをご覧ください。