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第22回

今回はりそな銀行の荒川研一氏から「中小企業向け融資の現状と課題」と題する報告を受けて討議した。6時半から始まったフォーラムは、いつもの如く、9時半頃に「そろそろ着地点を・・・」との要請に応えざるを得ない状況であった。
 とりわけ大学の研究者の多くは、「企業」の具体的イメージに乏しいこともあり、大銀行の融資といえば、トヨタ自動車、三菱商事、東京電力などに対する融資を連想してしまう。大昔の「二重構造」論の残影もあり、大銀行の中小企業向け融資はあるとしても例外だと勝手に思い込み、メガバンクにおいてさえ「中小企業向け融資」が件数ではもちろん金額でも大企業・地方公共団体向けをしのぐ勢いである現実を想像さえできない。これでは、融資の審査、担保や保証人の位置づけ・役割、債権管理、不良化した債権の回収などに対する健全な関心も本格化せず、議論も現実的にならない。
 この状況を金融・資本市場の機能やシステムについて研究・討議する「フォーラム」にとって由々しき事態と考えたfounder・進行係・長老は、「フォーラム」の土台造りという観点から必須と考えて、「中小企業向け融資の現状と課題」のような話題提供を荒川さんにお願いした。
 限られた自らの経験を基礎に大きく展開する「中小企業談義」や「中小企業金融物語」は昔から数多く存在する。しかし、中小企業金融専門機関によるものも含め、有用かつ豊富な情報をまとめて提供する文献は昔も今もほとんど見あたらない。「大学の研究者などという珍種の関心に対応するほどヒマではないし、そんなモノズキはいない」あるいは「何が知りたいかさえ分からない」ことによるのかもしれない。具体的な関心事を明示して、「そういう点に関する情報を少しまとめた文献・文書はありませんか?」と聞いて、「さあ、そういうものは見たことがありません」という回答を受け取ることにも昔も今も変わりはない。これは公式ルートを通じる質問にかぎらない。多方面に存在する数多くの友人達を通じて打診しても状況に変わりはない。
 ビジネスの方法・内容がそこまで標準化されていないか、「物言えば・・・・」という空気が慢性的に充満しているかのいずれかであり、協力的な人物を見つけてじっくりお話を伺うという作業を積み上げる以外に方法はないだろうと判断して、今回はかなり強引にご協力をお願いした。当然、今回の会合で基本的な部分がすべて理解できるわけではないし、今回の話の内容が標準的・典型的・代表的だと考える必要もない。
 当初からの了解に基づき、作成するメモは簡単にし、実質的な報告はすべて口頭で行われた。活発な質疑を通じて各参加メンバーは豊富な情報を得て理解を深めたはずである。しかし、当初からの約束により会合の内容はオフレコであり、作成されたメモも公開しないこととした。
 たとえば、中小企業向け融資であれば、件数や1件あたりの金額からいって、ほとんどのケースについて、本店などの「審査部」にまでいくことなく支店レベルで基本的な判断と対応が行われることは当然予想される。しかし、その具体的な内容と実施体制などは、実際に聞いてみて初めて具体的なイメージを持つことができた。
 無理なお願いを聞き入れて興味深い話題を提供していただいた荒川さんに深謝します。同時に、この議事録を見て、「それならこれを見ればよい」という有用な情報をお持ちの方には、連絡をいただきたい。