Event

過去のイベント

第23回

今回は、三輪が「『貸し渋り』・『借り渋り』と「信用保証」:1998.10~2001.3の特別信用保証を中心に」と題して完成間近の同名の論文の前半部分について報告して討議した。例によって、6時半にスタートした会合は、9時半頃に「そろそろ終りにしないと・・・」との報告者の台詞とともに強制着陸した。論文は月末には完成の予定である。
 融資取引市場では多様な「信用保証」のシステム・メカニズムが重要な役割を果たしている。その上に、「信用保証制度」と呼び習わされている一連の「政策」が地方・中央「政府」およびその関係機関によって提供されている。1937年にまで起源を遡ることができる日本の「制度」は、その歴史の長さ・内容の多様性とともに規模の点で、飛び抜けて目立つ存在である。とりわけ「バブル」崩壊後の1990年代にその規模拡大とともに、「中小企業政策」の主柱の1つとしての地位を確立した。1998.10~2001.3の時期に従来のものに上乗せして実施された特別保証制度では約2兆円の財政資金が投入された。2008年10月末(もちろん、政権交代前である)からほぼ同規模でスタートした緊急信用保証制度が現在も実施されている。
 中小企業向け「貸し渋り」対策として位置づけられることが多い「信用保証制度」について、その必要性の有無と重要性、「政策」としての有効性と効率性、そして現行「信用保証制度」の妥当性のそれぞれについて検討し、次の結論を導く論文のうち、「その必要性の有無と重要性」に焦点を合わせる前半部分の報告である。議論が沸騰すると同時に、「どうしてそんな政策が実施され続け、ここまで拡大し、現在も継続中なのか?」という疑問が提示され、「さあ・・・?」と報告者が肩をすくめて苦笑する場面が繰返された。

 「信用保証制度」と呼ばれる一連の政策は不要であり、その実施を通じる市場に対する政府の関与は、資源配分の歪みを発生・深刻化させ、存在する歪みを是正する市場メカニズムの作動を遅らせる弊害を追加的に発生させるから、望ましくない。
 借入額の1%程度の額の保証料(年率)を支払えば利用できる「信用保証制度」を用意し、その利用を推奨し、膨大な財政資金(国と地方自治体の双方の資金)を投入して「制度」の運営を補助(あるいは、主導)する「政策」により、市場の各側面に重大な影響・効果が顕在化する。本来的に不要な「政策」を膨大な資金・資源を投入して実施することに伴って発生する各種影響・効果の多くも積極的評価に値しない。「信用保証制度」と呼ばれる一連の政策は国民経済的に望ましくない。

 主張の内容と結論(さらに、問題提起)に怒るか、こんな政策が実施され続けていること(さらに、その実態がほとんど知らされていないこと)に怒るかのいずれにせよ、怒る人が少なくないと予想される内容である。その意味でも楽しめる内容である。論文の完成が間近いから、これ以上の紹介は不要だろう。とはいえ、とりわけ、融資取引における「情報の非対称性」という表現の愛用者にはあまり愉快でないかもしれない。
今回は、報告者に対する謝辞も省略する。

当日の報告用メモは下記からダウンロードできる。

また、3月末に完成したディスカッションペーパーは下記からダウンロードできる。