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第42回

今回は一橋大学の大橋和彦氏から、David T. Robinson and Berk A Sensoy, "Private Equity in the 21st Century: Cash Flows, Performance, and Contract Terms from 1984-2010" (Ohio State University, Fisher College of Business Working Paper Series, WP 2010-021, February 2011)について報告を受けて討議した。
 フォーラムでは、昨年来、日本のprivate equity市場について集中的に取り上げてきた。改めて、世界のPE市場、とりわけアメリカのPE市場の現状にとついて取り上げることを考えて、大橋氏に、話題提供をお願いした。大橋氏には、中野誠・蜂谷豊彦両氏と共著の「経済再活性化と金融市場:プライベート・エクイティ・ファンド(PEF)と年金基金の役割」(『一橋ビジネスレビュー』2001、Sept.)という論文がある。最近も、「10年経過しても、あまり変わっていませんね」とする感慨を漏らされていた。
 内容に関しては、大橋さんの詳細な報告用メモをご覧いただく。1984-2010の期間のアメリカのPE fundsを広範囲にカバーする大規模なdatabaseの提供を受けて実施されたdeterminants of private equity performance, management contract term, and cash flow behaviorに関する実証研究である。既存の実証研究のcash flow dataは2003年までのものに限られるから、2007年をピークとするboomとその後のcrashの時期にまで検討期間を延ばした初めての実証研究としても極めて興味深い。詳細なdataに基づいて、今後の議論の基盤となる情報を整備した論文としても価値が高い。
 論文の目的は、empirically investigate the following:
(1)Impact of market conditions on private equity markets?
 ・Do private equity funds grow too large during booms, resulting in worse performance?
 ・How do private equity cash flows co-move with public markets?
 ・What are the liquidity properties of private equity as an asset class?
(2)Management contracts and net-of-fee performance?
 ・How do fundraising cycles affect the terms of the management contract between GPs (general partners) and LPs (limited partners)?
 ・Relations of contract terms to reputation or perceived ability of the GP?
 ・Is general incentive pay associated with higher performance?
 2007年以降のfinancial crisisの過程で、private equity fundsの状況および将来性に関してはなはだしく悲観的な意見と情報が広く流通した。Private equity market全体についてのみならず、VC, buyout, real estate, debt, funds-of-fundsなどの各分野についても検討したこの論文は、客観的なdataに基づく冷静な検討の素材を提供する。当然、フォーラムの議論は大いに盛り上がった。
 興味深い論文を見つけ出し、詳細なメモを作成し、錯綜する議論に冷静で要領よく対応していただいた大橋さんに深謝します。
 大橋さんの報告用メモは以下からダウンロードできます。原論文に関心の方は、著者のHPからダウンロードしてください。