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第5回会合

今回は東京大学の井堀利宏さんから「なぜ歳出削減は容易でないか?」と題する報告を受けて討議した。井堀さんは、政府歳出の無駄に注目し、歳出配分の見直し、歳出削減の必要性に注目し、具体的内容とともに財政再建の必要性を早くから強く主張してきた代表的経済学者の一人である。今後、歳出削減の具体的内容と方法にも注目しながら、その帰結・影響に研究会の検討の重点を移すに際して、まずは総論・導入編としての話題提供を求めた。財政破綻後に事実上強制されるかその前に進めるかのいずれであるにせよ、歳出削減が今後の検討の焦点になる。「タイトルは三輪さんに言われたものです・・・」とのことであり、具体的内容・方法に内容の重点がある。「井堀さんの予想というか予測では、財政破綻はいつごろですか・・・?」と開始前に水を向けたところ、「5年後・・・と予想したのが5年以上前です・・・」が笑顔での回答であった。三輪を含めた少なからぬ参加メンバーの「予想」と大きくは違わないだろう。
 「なぜ歳出削減は容易でないか・・・?」という話題には、財政再建、とりわけ歳出削減の必要性・重要性を重視する者の多くにとっては、「何を今さら・・・」という感が強いだろう。冒頭のこの話題に関する討議は早々に終え、小泉政権末期の「骨太の方針2006」に結果した歳出改革に話題が移り、さらにそれが実現しなかったという現実に話題が及んだ。報告用メモの15頁以下の井堀さんたちの当時のシミュレーション結果と最近の試算結果に話題が移った。前者の、2005年から大胆な改革がスタートしたという状況下でのシミュレーション結果は、スタートせずにかなりの時間が経過したという現実と照らすと、少なからぬ読者により大きなショックを与えるはずである。ちなみに、第2回会合で報告していただいた上田さんによれば、「私の試算結果と概ね一致している」そうである。
その後、民主党政権時代の政策の評価に進み、最後に、どの分野でどれだけ減らせるか、減らすと何が起きるか・・・という話題に議論が移行して、今後の検討につながることになった。具体的例示内容については報告用ファイルをご覧いただきたい。まずは、「どの分野でどの程度の削減が可能か」という視点からの検討が進み、その後に、より具体的に「xxをさらに大幅に削減しあるいは廃止したら何が起こるか」という方向にさらに話題が展開した。たとえば、「基礎年金の国庫負担の1/3から1/2への引き上げではなく、これを廃止、つまり0にしたらどうなるか?」が話題になったが、一応の意見交換をしたうえで今後の検討課題とした。関連して、「制度に関する情報が必ずしも正確に提供されず的確に理解されていない・・・」との指摘があり、求めに応じて後日参考情報が田中さんからメンバーに提供された(文献のリストについて下記のとおりである)。
 「補助金の無駄:歳出削減は政治的に困難」「無駄な歳出でも、削減は困難」「無駄をなくす『遠回りな』提案」などと続き、「まとめ:歳出削減は難しい」で終わる。「やれやれ・・・。そうなら、『財政破綻』で実質的に強制されるまで・・・」と暗い気持ちになる読者が多いかもしれない。
short noticeの強要されたようなテーマでのお願いを快諾し、興味深い内容について要領よく報告していただいた井堀さんに深謝します。
 井堀さんの報告用資料は以下からダウンロードできます。(文責:三輪芳朗)


田中秀明さんから提供された関連資料のリストは次の3点です。
・「基礎年金の一元化を急げ」『エコノミスト』2008年3月25日号、52~55頁
・「論点 消費増税と一体改革 社会保障見直し不十分」『読売新聞』2012年4月11日
・「財政再建 成功国に学ぶ(下) 規律守る政治の仕組みを」(経済教室)『日本経済新聞』 2011年11月18日