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第22回会合

債券の取引はほとんどが店頭市場で行われ、主たる取引参加者が少数のプロの投資家に限定されているので、株式市場と比較してその実態が外部者にはわかりにくい。今回の研究会では、主として調査分析を中心に長年にわたり日本国債市場において仕事を続けてこられた角間和男氏(現 野村アセットマネジメント)に「日本の国債市場と投資家行動」というタイトルで国債市場の「内部者」の立場から報告をしていただいた。
 政府債務の膨張と予想インフレ率上昇を背景に国債暴落を懸念する人は多い。一方で、長期金利にはむしろ低下圧力がかかり、史上最低水準にある。両者の不整合性の原因と持続性について考える材料を提供していただきたいというのが研究会メンバーから角間氏にお願いしたことである。
 日本の財政状況は、たしかに数字の上では危機的な状況にあるが、国債の保有構造特性から直ちに危機が表面化する可能性は低いと市場は見ている、というのが角間氏の見方である。ほぼ国内で閉じた資金循環の中で、国債を買い支えているのは実質的には家計の金融資産であり、こうした家計金融資産保有特性が金融機関の投資行動に反映され、長期金利は上昇しにくい構図ある。影響が大きいのが銀行、保険、年金を経由した資金の流れで、これに最近の日銀を経由した流れが加わり、これらのチャネルで国債に伴う金利リスクの大部分が負担されている。日銀の金融政策が今後も最大の相場変動要因だが、日銀のオペ以外では、近年影響力が強くなっているのが生命保険である。その負債特性の変化を含めて生命保険の今後の動向は要注意である、という指摘がなされたのが注目される。
 研究会における今後の議論の参考になる様々なソースからの広範なデータに基づく分析をしていただいた角間氏に感謝したい。
 角間氏の報告用ファイルは以下からダウンロードできる。