ワーキングペーパー

会計

J-series

作成:

番号:CARF-J-043

利益変化額と水準額のValue Relevance

著者:大日方 隆

Abstract

この論文の目的は、前期の利益情報を前提条件にして、当期利益の価値関連性(value relevance)を検証することである。第1 に、減益にはより多くのtransitory earnings が含まれており、減益企業の報告利益にかかる係数は、増益企業よりも小さいが、その非対称性は環境条件にも規定され、それが観察されない産業部門や期間もある。第2 に、大規模な利益変化額にはより多くのtransitory earnings が含まれるという仮説(S 字型反応仮説)は棄却される。むしろ、大規模な増益は小規模な増益よりもpersistent であり、大規模増益企業の報告利益(水準)にかかる係数は、小規模増益企業の係数よりも大きくなるJ 字型の関係が観察される産業部門や期間も存在する。第3 に、増益額と黒字額のrelevance は、前期が黒字か赤字かによって異なることもあり、また、その影響の相違も、産業部門や期間などの条件に依存している。

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