ワーキングペーパー

会計

J-series

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番号:CARF-J-084

利益率の平均回帰傾向(4) – 法人企業統計データの年度別分析 –

著者:大日方隆

Abstract

この論文は,法人企業統計データを対象として,利益率の平均回帰傾向を年度別に分析したものである。一般に,年度別分析は,(1)年々の係数をどのように推定するのか,(2)推定された係数をどのように全体(の平均値)に統合したり,どのようにトレンドを分析したりするのかという2 つの問題領域から構成されている。分析の結果,産業平均を超える超過利益率が大きい(小さい)ほど,将来,企業の利益率は大きく低下(上昇)する,という利益率の平均傾向は,特定の年度や期間だけでなく,サンプル期間全体を通じて一貫して観察される現象であることが判明した。年々の推定においては,クロス・セクションでサンプルをプールするのではなく,産業ごとに層化(stratify)をして係数を推定したうえで,メタ分析を利用して産業別の係数を全体に統合する方法が有効である。年度別の係数は,一定の時系列変動をしており,それを無視して単純な平均値を求める通常(オリジナル)のFama-MacBeth 回帰の手法は不適切である。係数の時系列変動を考慮したうえで,全体の結果(平均値)を推定したところ,利益率に平均回帰傾向があるという観察結果は頑健であった。

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