ワーキングペーパー

会計

J-series

作成:

番号:CARF-J-086

利益率の平均回帰傾向(6) – 法人企業統計データの企業別分析 –

著者:大日方隆

Abstract

この論文は,法人企業統計データを対象にして,利益率の平均回帰傾向を検証したものである。部分調整モデルによる分析の結果,企業別に係数を推定した場合も,超過利益率と翌期の利益率の変化とのあいだには負の関係があることが判明した。つまり,超過利益率が大きい(小さい)ほど,利益率が産業平均に向けて回帰するように,翌期の利益率は大きく低下(上昇)することが判明した。ただし,企業別推定による係数には,調査年数の大小(長短)にかんして,一定のバイアスが生じている。それゆえ,調査年数クラスターごとに平均を計算したうえで,さらに全体の平均を計算したり,クラスター補正をして全体の平均を計算したりする必要がある。また,企業別の係数を多段階利益について比較したところ,営業利益と経常利益とのあいだには持続性の大きな差異はないものの,売上総利益から当期純利益に向けて,多段階利益の計算順に持続性は低くなっていることが確認された。

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