Research

「書かれた」会計基準とその運用 —ASBJのIASBに対するコメント・レターの分析—

Author

Abstract

本論文では、企業会計基準委員会(ASBJ)が国際会計基準審議会(IASB)の求めに応じ、IASBの公開草案に対して寄せたコメント・レターの内容を分析している。コメント・レターが依拠している事実認識や価値判断の抽出・集計を通じて(1)日本における現行会計基準の体系を支えている重要な基礎概念で、IASBが依拠している基礎概念と異なるものは何か、(2)実際に参照されている事実認識や価値判断は「概念フレームワーク」などに「書かれた基礎概念」と整合的か、などを解き明かすのが本論文の主題である。検討の結果、(a)コメントが依拠している事実認識や価値判断の多くは「概念フレームワーク」などに典拠を有すること、(b)ただし「書かれた基礎概念」との関連が希薄で間接的なものにとどまる項目も多いこと、(c)基準の体系を支える基礎概念に関してASBJとIASBとは多く不一致を抱えているのに加え、不一致の原因を究明し、その解決を図ろうとする試み自体がみられないこと、などの含意が得られている。
ダウンロード