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不正会計予測モデルの構築

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Abstract

本研究の目的は,日本の上場企業を分析対象として,会計情報の分析を通じた不正会計予測の可能性を検討することである。具体的には,利益調整や保守主義といった会計利益の質に関する研究成果に着目して,(1)有価証券報告で入手可能な財務情報で把握できる不正会計企業の特徴を明らかにし,(2)そのような財務的特徴を利用した不正会計予測モデルの構築を行うことを目的とする。不正会計を説明する要因として,「会計発生高の質」,「パフォーマンス」,「非財務情報」,「オフ・バランス・シート」,「市場」,「実体的裁量行動」,「保守主義」および「日本特有の要因」に注目し,合計で39指標を検討した。単変量分析およびロジット回帰分析を利用した予測モデルの検討を行い,「会計発生高の質」,「市場」,「実体的裁量行動」,「保守主義」および「日本特有の要因」に関連する変数の説明力が高いことが分かった。さらに,この予測モデルの有効性を検証するために,①予測モデルの精度の分析,②第一種の過誤と第二種の過誤に関する分析,③説明変数の限界効果の分析,および④年度や産業を考慮した頑健性テスト,といった分析を実施した。分析結果は,本研究の予測モデルは,先行研究が提示した予測モデルと比較しても,不正会計に対する高い説明力を有していることを示していた。会計および金融実務の様々な局面での利用可能性が期待できる。