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会計

J-series

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番号:CARF-J-127

テーマ提言の主体は誰か ―基準諮問会議と企業会計基準委員会の役割分担―

著者:米山 正樹、小形 健介、大雄 智、山田 純平

要旨

本稿の主要な研究主題は、ASACとASBJがテーマ提言(基準開発に着手するかどうかの判断)に際して、どのような役割を果たしてきたのかである。これまでほとんど論じられてこなかった主題であることからfact findingに徹し、適正手続規則にもとづく原則的な対応がとられているかどうか、すなわちテーマ提言は主としてASACによって行われているかどうかという具体的な問題意識をもって調査に臨んだ。

こうした分析結果によれば、諮問会議自体がテーマ提言を行う原則的な対応が多数を占めていた。その一方、ASBJがテーマ提言を行う事例も外見上は無視できない件数に達していた。ただASBJが主体的に発議したケースを詳細に分析してみると、ASACからの直接的な提言は受けていないものの、既に着手済みとなっている関連プロジェクトや公表済みの中期運営方針などに紐づけられる事例、つまり間接的かつ実質的にはテーマ提言済みとみなしうる事例が圧倒的多数を占めていた。

以上の検討結果からすれば、ASACを通していない事例だからといって、ASBJが主体的に審議テーマを決定したとは言い切れない。そのような事例の大多数においてASBJは、一定の条件が満たされれば基準開発に着手する旨の実質的なコンセンサスが既に得られているという判断にもとづき、いわば実質的なテーマ提言を受けて対応したと考えられる。
テーマ提言においてASACとASBJが果たしている役割の実態把握を試みる際には、どの主体が発議したのかだけでなく、どのような文脈において発議が行われたのかにも着目しなければならない。

本稿はこのほか、ASACにどのようなテーマ提案がいかなる主体から寄せられたのか、という問題意識にもとづくfact findingも試みた。米国FASBのアジェンダ選定を対象とした先行研究との対比しながら調査結果を要約すると、テーマ提案主体の属性としては、SECの比率が高かった米国と異なり、日本では監査人からのテーマ提案が多く、SECに相当する金融庁からのテーマ提案は僅少であった。他方でテーマ提案のあった領域については、日米とも金融商品会計、リース会計、退職給付会計などに関連する審議依頼が多かった。
さらに日米比較から距離を置いて提案されたテーマを俯瞰すると、調査対象期間においては既存の会計基準に係る解釈が揺らいだり、不明確になったりしたことを契機として、解釈の明確化を求めるようなテーマ提案が支配的であることも明らかとなった。ただし今回の調査はあくまでもfact findingにとどまっており、観察された現象がなぜ生じたのかに関する因果の解明は今後の課題として残されている。

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