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非伝統的金融政策の有効性: 日本銀行の経験

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この論文は日本銀行が1990年代後半以降に、また他のG7主要国中央銀行が2007年以降に採用したいわゆる非伝統的金融政策手段を要約しつつ、その有効性に関する分析をサーベイし、若干の新しい分析結果を付け加える。論文はまずゼロ金利周辺(ZLB)で採用可能な手段を次の3種類に分類する:(1)将来短期金利の予想値の誘導、(2)特定資産購入、(3)量的緩和(QE)。この分類に基づいて各中央銀行が実施した政策が整理される。さらに、特に日銀が採用した手段についてニュース分析の手法でその有効性がチェックされFedのそれと比較される。それによれば、政策手段の資産価格への影響という点では、日米に大きな差はなく、おおむね金融政策手段は資産価格に予想される方向の影響を与えた。既存の分析と比べると、特定資産購入の効果がやや強めに検出されている。ただし、日銀の政策は為替レートには大きな影響を持たなかったこと、また非伝統的資産購入を伴わないQEの影響も限られていたことが判明する。しかし、いずれにせよ、経済のデフレ基調は収まっておらず、この時期の政策の実体経済への影響は弱かったと言わざるを得ない。その理由と金融政策全般への本稿の分析のインプリケーションも議論される。
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