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利益率の平均回帰傾向(10) – 法人企業統計データのメタ・パネル分析 –

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Abstract

この論文は,産業ごと,年度ごとに推定された係数のパネル・データを対象にして,メタ分析をしたものである。分析の結果,部分調整モデルの超過利益率にかかる係数は負であり,利益率には平均値への回帰傾向あるいは中央値への回帰傾向があることが裏付けられた。利益率の持続性は,多段階利益によって異なっており,営業利益と経常利益とのあいだに大きな違いはないものの,売上総利益から当期純利益に向かうにしたがって,多段階利益の計算順に利益率の持続性は低くなっている。また,利益率の持続性は,年々低下しているものの,そのほとんどが超過利益率の持続性の変動と平均回帰へ向かう調整速度の変動で説明される。それらによって説明される部分を除くと,利益率の持続性が時系列で有意に低下しているという証拠は観察されなかった。この結果は,利益率の持続性の低下が利益情報の名目的な歪み(distortion)によって引き起こされているという仮説にたいして,否定的である。
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