ワーキングペーパー

会計

J-series

作成:

番号:CARF-J-053

純利益と包括利益—利益属性と有用性の再検討—

著者:大日方隆

Abstract

この論文の目的は,純利益と包括利益の有用性を比較することである。SUR(seemingly unrelated regression)分析の結果,以下のことが判明した。持続性は,純利益のほうが高いことも,包括利益のほうが高いこともあり,一方だけが高いとは言えない。適時性は,予想通り,包括利益のほうが優れているものの,保守性にかんしては,有意味な比較はできなかった。価値関連性と株価のinformativenessについては,純利益と包括利益とのあいだに決定的な差異はなく,いずれか一方が優れていると言えるほどの強い証拠は観察されなかった。この実証結果は,業績報告の会計基準設定にたいして重要な貢献をしている。

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