会計
J-series
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番号:CARF-J-085
利益率の平均回帰傾向(5) – 法人企業統計データの産業別分析(2) –
Abstract
この論文では,大日方 (2012a) で説明した法人企業統計データを対象として,利益率の平均回帰傾向を確かめる。この論文で焦点を当てるのは,誤差項の系列相関の問題である。産業別にデータを層化したうえで,FGLS 法とダイナミック・パネル分析の手法を利用して分析をする。産業別に層化するのは,第1 に,アド・ホックな形式的数値基準によって異常値を除外するのではなく,層化を通じて,異常値の結果に左右されにくいロバストな結果を得るためである。第2 に,計算負荷の問題から,大規模パネルには計算負荷の関係からFGLS 法を適用できないため,産業別パネルに分割して計算する必要があるからである。分析の結果,FGLS 法によっても,ダイナミック・パネル分析によっても,利益率は産業平均に向けて回帰する傾向があることが確かめられた。