会計
J-series
作成:
番号:CARF-J-087
利益率の平均回帰傾向(7) – 法人企業統計データの非線形分析 –
Abstract
この論文では,法人企業統計データを対象として,利益率の持続性,超過利益率の持続性,平均に回帰する調整速度の3 つが,超過利益率の大きさにたいして線形の関係にあるのか否かを検証した。分析には,分位点回帰とポートフォリオ分析を利用した。分析の結果,(超過)利益率の持続性も調整速度も,超過利益率の大きさにたいして非線形の関係にあることが判明した。分位点回帰の結果は,利益率は産業平均に向かって回帰する傾向をもつものの,正の超過利益率が消失する速度よりも,負の超過利益率が解消(回復)する速度のほうが速いという証拠を示している。ポートフォリオ分析によると,超過利益率の大小と調整速度の係数とは上にたいして凸の関係にあり,産業平均から遠くなるほど調整速度が速くなる傾向があることが判明した。