会計
J-series
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番号:CARF-J-089
利益率の平均回帰傾向(9) – 法人企業統計データの分析の追加テスト –
Abstract
この論文では,法人企業統計データを対象にして,利益率が回帰するターゲットについて分析した。分析の結果,利益率は中央値へ向けても回帰傾向をもっていることが判明した。ただし,それは平均値への回帰傾向を否定するものではなく,平均値と中央値のいずれが収束ターゲットであるかは,識別できなかった。1 年後の利益率の変化にかんしては,中央値への収束が優勢であるという結果が得られた一方,3〜5 年後の利益率の変化にかんしては,平均値への回帰傾向が優勢であることを示す証拠も発見された。「産業の平均的水準」なり,「だいたい真ん中あたり」なりの代理変数として,平均値と中央値はともに同じように機能していると推測される。平均値と中央値のいずれも含んだ意味において,利益率は平均回帰することが,あらためて確認された。