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J-series

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番号:CARF-J-055

社会的責任と収益性は両立するか?−SRI に関する論点整理−

著者:吉田二郎

Abstract

本稿では,社会的責任投資(SRI)の経済合理性に関する理論的な整理と,過去の実証研究の概観を行ったうえで,日本のSRI の収益率を分析する.理論的にはSRI が高い収益をもたらす可能性も十分にあるが,高い収益率は数年単位の一時的なものである可能性が高い.高い収益は,企業の社会的責任への姿勢が認知される過程で株価上昇によりもたらされるが,株価が高い水準に達したあとは従来と同じか低い収益率となる.日本のSRI 指数のデータはそれを裏付けられており,1990 年代のSRI ポートフォリオの収益率はTOPIX を上回るものであったが,2000 年を境にSRI の収益率はTOPIX と同水準となっている.SRI の収益率に関する既存研究では相反する結論が提示されているが,本稿の理論的整理はその理解に役立つものと考える.

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